心とサポート

EAP/カウンセリングの活用法

心の疲れをためる前に。会社のメンタルサポート制度を上手に使う方法

EAP/カウンセリングの活用法

仕事・育児・家事と、毎日を全力で頑張るママほど、「ちょっと疲れたな」「誰かに話を聞いてもらいたいな」と感じる瞬間があります。そんなときに支えてくれるのが、EAP(従業員支援プログラム)やカウンセリング制度です。企業が社員の心の健康を守るために導入しているもので、上司に言いにくい悩みも専門のカウンセラーに安心して相談できます。この記事では、EAPの仕組みと使い方、利用するメリットをわかりやすく解説します。

1. EAPとは?企業が導入する“心のサポート制度”

EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)は、社員のメンタルヘルスや生活上の悩みを専門家がサポートする制度です。カウンセリングや心理相談を通じて、心の不調を早期に発見・改善することを目的としています。

近年は、企業の約半数がEAPや外部カウンセリング窓口を導入しています。仕事だけでなく、育児・家庭・人間関係・キャリアの悩みなど、プライベートな問題も安心して相談できる環境を整えることで、社員の離職防止や生産性向上につながっています。

2. どんなときに使えるの?

EAPや社内カウンセリング制度は、「うつっぽい」「眠れない」といった深刻な症状が出てから使うものではありません。もっと手前の、「なんとなく気持ちが落ちる」「人間関係でモヤモヤする」「育児と仕事の両立に疲れた」といった段階から相談してOKです。

よくある相談内容の例

  • 職場の人間関係(上司・同僚とのコミュニケーション)
  • 仕事のストレス、集中できない
  • 子育てや家庭との両立に関する不安
  • キャリアへの焦り、今後の働き方の相談
  • 産後の心身の変化、パートナーとの関係

多くのEAPでは、心理カウンセラー・臨床心理士・産業カウンセラーなどの専門家が対応します。内容はもちろん完全に守秘義務付きで、会社に知られることはありません。

3. 相談の流れと利用方法

企業によって仕組みは異なりますが、一般的な流れは次の通りです。

  1. 社内イントラや人事部からEAP窓口の連絡先を確認
  2. メールや電話、オンラインフォームで相談予約
  3. カウンセラーと日程調整(対面またはオンライン)
  4. 初回面談で状況をヒアリング
  5. 必要に応じて継続セッション、または外部専門機関の紹介

1回あたり30〜60分で、月1〜2回のペースが一般的です。最近は、チャット形式で気軽に相談できるオンラインEAPも増えています。

4. 利用するメリット

4-1. 心の不調を早期に発見できる

ストレスや不安は、放っておくと集中力や判断力の低下につながります。「少し気になる段階で相談する」ことで、早期にリセットでき、心の疲労が慢性化するのを防げます。

4-2. 客観的なアドバイスがもらえる

家族や友人ではなく、第三者の専門家に話すことで、自分の感情や思考の整理が進みます。「自分の考えを俯瞰して見られるようになった」「感情を言語化できてスッキリした」という声も多く聞かれます。

4-3. 職場の生産性を守る

EAPの導入企業では、社員の欠勤・離職率が下がり、コミュニケーションの改善や業務効率の向上が確認されています。つまり、EAPは“やさしさの制度”であると同時に、“経営戦略”でもあるのです。

5. ママ社員がEAPを活用するコツ

5-1. 「頑張りすぎているサイン」を見逃さない

  • 子どもが寝たあとに仕事のことを考えて眠れない
  • 朝から気分が重い
  • 仕事で小さなミスを繰り返す
  • 感情の起伏が激しくなった

こうしたサインが出てきたときは、“相談するタイミング”です。EAPは「限界を迎えた人のためのもの」ではなく、「頑張りすぎる前に立ち止まるための仕組み」です。

5-2. カウンセリングを「特別なこと」と思わない

欧米では、カウンセリングは「自分を整えるための習慣」として広く定着しています。「弱いから相談する」のではなく、「前向きに働くためのメンテナンス」。ランチや美容院のように、“自分を整える時間”として気軽に使っていいのです。

5-3. 利用をためらうときは、人事や産業医に相談を

「誰に連絡したらいいかわからない」「制度があるかわからない」ときは、まず人事担当者や産業医に相談してみましょう。多くの企業では、匿名・無料で外部EAPにつなぐ仕組みが整っています。

6. 企業の取り組み事例

  • サントリーホールディングス株式会社:産業カウンセラー・産業医・臨床心理士が連携し、社内外で相談できる「こころの相談室」を設置。従業員だけでなく家族も利用可能。
  • パナソニック株式会社:EAP専門会社と提携し、オンラインカウンセリング・電話相談・研修を実施。年間約1万人が利用し、ストレスチェック後のフォローも強化。
  • リクルートグループ:「誰もがいつでも相談できる」をテーマに、社内EAPを運営。心理相談だけでなく、キャリアや家庭の悩みなども幅広く対応。

7. まとめ:心のケアも「福利厚生」の一部

EAPやカウンセリング制度は、ママ社員にとって“心の安全弁”のような存在です。育児・家事・仕事のバランスを取る中で、心が疲れるのは自然なこと。大切なのは、「つらくなる前に話す」ことを自分に許すことです。

働き方の多様化が進む中で、心の健康を守ることは、もはや個人の努力ではなく“企業の責任”。安心して相談できる制度を知り、うまく活用することが、ママが長く、前向きに働き続ける第一歩になります。